2017/07/02

自転車利用の増加は自転車利用の多様化に繋がるのか?

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Does More Cycling Mean More Diversity in Cycling?: (2016). Does More Cycling Mean More Diversity in Cycling? Transport Reviews: Vol. 36, Cycling As Transport, pp. 28-44. doi: 10.1080/01441647.2015.1014451

この論文を眺めてました。

一言でいうと、イングランド・ウェールズにおいて2001年と2011年を対比したところ、自転車利用が増加する一方で、女性や高齢者の利用が増加せず、むしろ減少している傾向も見られる、という内容です。

同論文は、UK,USA,Canadaといったアングロサクソン系の国においては、典型的に女性や高齢者の自転車利用が男性より低く、しかしこの傾向は自転車先進国とされるオランダ、ドイツ、デンマークでは異なるので、なんでだろ?という疑問が出発点となっています。

女性の自転車利用が男性より低くなる理由としては、様々な論者により、大きく分けて3つの理由が提示されているということです。

  1. 女性が好むトリップの性質が男性と異なること
    女性は、他人を連れて走ったり、複数の目的(買い物、etc)を伴うライド、あるいは荷物を積んだライドを好む傾向があるとのこと。これは、典型的な通勤利用、すなわち、2地点を一人で往復するだけの利用とは、異なる考慮が必要であることを示しています。
  2. 文化的固定観念
    女性は男性よりリスク回避的であるという傾向が、スポーツ的・男性中心の文化に参加することをためらわせるという分析です。
  3. インフラ
    2と関連しますが、多くの論者によって、女性のほうが男性よりも分離インフラを好む傾向が指摘されています。
論文は、女性・高齢者がサイクリングに参加することを促進するために、政策立案者は、彼等・彼女らのような「声なき声」(under-represented)、すなわちこれらのニーズを考慮に入れて政策を形成すべきであるとまとめています。

我が国はどうなの?

我が国において歩道通行を広く認めたことは、実は、これらニーズを的確に捉えたものと評価することが可能であるように思えます。

現にUKが四苦八苦して得ようとしている女性の自転車への参加を、我が国は容易にクリアしているとも言えます。

これをぶち壊すのか。あるいは、この資産を維持しつつ、より改善を図るのか。

現在の我が国の自転車政策の議論は、歩行者の巻き込まれ事故といった負の外部性を防止することばかりに目が行っているように思います。その外部性はその通りなのですが、現に我が国がどういう状況にあるかについて、得ているモノをきちんと評価することもまた必要ではないかと思う次第です。

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