2017/02/03

自転車に進路を塞がれたあるドライバーが取った行動

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Jeremy Vine road rage driver who made a 'gun' gesture faces jail | London Evening Standard



昨日2月1日のロンドン・イブニングスタンダード紙にこんな記事がありました。
「路上でサイクリストに対して怒り狂い、銃のジェスチャーを取ったドライバーが収監の危機」とでも訳せるでしょうか。

百分は一見にしかず。
※暴力的な表現が含まれます※


  • ~25秒
    ロンドンではこのように両側に路上駐車が公認されている場所が多いです。そのような場所では一方通行が採用されているわけですが、自動車一台とちょっとの幅しかありません。
    そのため、自転車がドアゾーンをさけて走行すると、必然的に自動車をブロックすることに。
  • 25秒
    前を塞がれたからか、クラクションを鳴らし始めるドライバー
  • 30秒
    車間を詰めてくるドライバー。危険を感じたサイクリストは・・・
以下はご覧の通り。

このドライバーが絡んだのは、BBCに務めるテレビの有名人。
彼が装着していたウェアラブルカメラという動かぬ証拠により、このドライバーは
  • 他の道路利用者に合理的な配慮をせずに運転したこと
  • 脅迫的で口汚く、かつ侮辱的な表現をとったこと
の2点において有罪とされました。

ドライバーは近時にも執行猶予付の有罪判決を受けており、いわゆる実刑、収監となる可能性があるということです。

この記事を読みながら、何人かの方とした会話を思い出しました。

日本では、一定の場合には歩道通行が認められていますが、それに当てはまらない場合、自転車は車道を通行することになっています。

イギリスに住む私の実感として、日本の道路はかなりハイレベルに整備されています。
とはいっても、車道を通行する場合、速度差や交通状況などで、自転車が自動車の流れを阻害してしまうことはよくあるように思います。

日本にも、道路交通法、さらには民法(不法行為法)により、ドライバーは他の道路利用者に配慮する義務が存在します。

そして、他の利用者、例えば自転車が、合法な形で道路を利用している場合には、それによりドライバーが自分の走りたい速度で走ることを邪魔されたとしても、それ自体をやめさせる根拠はないように思います。

上の記事でも、裁判官は、サイクリストの行動は完全に適切であると明言。

しかし、私がこれまで何人の方とした議論の中では、
  • 自転車が自動車交通をブロックするのはマナー違反ではないか
  • 自転車は円滑な交通のためにどこかで譲るべきである
  • 個人的には上記には同意しないが、そう感じている人が多数ではないか
という声が聞こえました。


「自転車は車道が原則、歩道が例外」という、昨今の政策。

この政策の考慮の中には、上記のようなドライバーの意識を変えたい、という考えが多分に含まれているようです。

もっとも、私はこの点については批判的です。

過去の記事で書いたとおり、ロンドンでは過去に現在の日本と同様の発想を採用し、車道上のペイントによる自転車インフラを構築しようとしましたが、複数の死亡事故を受けて頓挫。

結局、ペイントで人の注意を促しても、不注意な人間の本性が変わるわけではない。

この事件において怒り狂ったドライバーはシングルマザー。彼女は執行猶予中の身であり、自分が次に何をしたらどうなるか、頭では分かっていた筈です。

しかし、彼女は我慢できませんでした。

もちろん本件はとても例外的なケースだとは思います。もっとも、彼女の怒りの根底には、我が国の多くの人も共有すると思われる
  • ドライバーには、自分の走りたい速度で走る権利(?)がある
という発想があるように思われます。


ここからが本論です。


意外に思われるかもしれませんが、私は、人々がこのように考えるのを非難する気はありません。

赤ん坊は立てるようになると好き勝手に走り回ります。

サイクリストも、自分の快適な速度で走りたい。

あるいは、エスカレーターで立ち止まることを奨励しても、歩きたい人は一定数いるし、皆もそれを分かっているから片側を明けて尊重します。

要するに、人が自分の進みたい速度で進むのは、かなり本能的なところに根ざしているように思えるのです(ここは独自理論です)。

これは自動車に乗っても同じ。
ルールやマナーで変えようとしても、そうそう簡単にはいかないでしょう。

本件が象徴的な形で明らかにしているのは、
  • たとえ刑罰を持ってしても、本能に根ざす行動を抑止するのはなかなか難しい。
  • 彼女のように危険な行動に出てしまう人も一定数いる。
我が国の自転車インフラに関する政策も、このような人の弱さを前提にした内容であって欲しいと思っています。

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