2016/09/23

コミケ戦利品シリーズ(4) フランス&自転車2015/企鵝自転車U-511+伊8編 Alpes+PARIS-BREST-PARIS

今回は、フォローもさせて頂いている@hideaさんによる2015年フランス自転車旅の本2冊です。
C90での新刊は企鵝自転車U-511+伊8編の方みたいですね。いずれも、筆者さんが2015年夏にフランスを旅されたときのできごとをテーマにしています。

フランス自転車旅・・・と言えばのどかに聞こえますが、実態はなかなかにハードコアです。

主目的は4年に一度開催されるブルベの祭典パリ・ブレスト・パリ1200キロへの参戦。ところがその前菜としてラルプ・デュエズをはじめとするフランスアルプスの山々をペロリと。

すごい。

偶然ですが、私もこの数週間前にアルプスのほぼ同じ場所を走っていました。そのため、自分の記憶と重ね合わせて楽しみました。

2冊のうち、フランス&自転車2015は、現地のきれいな写真を収めた写真集的な小冊子。このうち、個人的にいいなって思ったのは食事の写真。

UKに暮らしていると強く実感するのが、フランスの食生活との落差です。UKの飯が特別まずいというのはバイアスかかった言説だとは思います、が、フランスと比べると見劣りするというのは残念ながら率直な実感。

農産物とそれを素材にしたパン・ワインといった食品がとても高レベル。味付けもなかなか手が込んでいて、田舎の宿で出てくるようなシンプルな料理でも全然飽きません。

フランスアルプス。日本からのアクセスは一見すると困難のようにも思えますが、インターネットで何でも個人で手配可能であり、時間さえ取れればそこまででもありません。元々冬のリゾートであり、夏場は冬のスキー客向けのロッジがサイクリストを迎えてくれます。

気の合ったグループでロッジを借り切って。。。ってはアリだと思うんですよね。誰か一緒に行きませんか?(o゜▽゜)o



後半のメインテーマは、パリ・ブレスト・パリ
言わずと知れたAudaxのシンボルといえる一大イベントです。

有名なイベントであり、色々な方が体験談を書かれていますが、企鵝自転車U-511+伊8編では様々な「仮眠テクニック」が紹介されているのが印象的です。

・・・と書きながら、妙なおかしさがこみ上げてきました。

普通のサイクリングの体験談であれば、主な話題は風景や地形(ヒルクライム、ダウンヒル)といった内容になるはず。

ところが、私の少ないブルベ経験からも実感が持てるのですが、距離が長くなると、そんなことより補給と休息の作戦に必然的に意識が集中します。

一般の人は、仮眠にフォーカス、と聞くとなんだろう?と思われるかもしれません。しかし、ランドヌールにとって、このような記録になるのはごく自然な帰結なのかもしれないな、と思ったのでした。

PBP参加してみたいなあ。。。

2016/09/21

コミケ戦利品シリーズ(3) 劇場版弱虫ペダルの舞台を実際に走ってみた

所謂聖地巡礼ジャンルですね。

弱虫ペダルは日本の高校生による公道レースがモチーフですので、必然的に舞台も実在の道路になります。

既に語り尽くされているとは思いますが、総北が総合優勝を果たした1年目の舞台は江ノ島~富士山。いずれの場所も走ったことがあります。

マンガに言うのは無粋ですが・・・あれは高校生には辛いんじゃないかと率直に思った次第です。

この本が舞台にしているのはアニメ劇場版。残念ながら私はアニメ放送時からUKにいたので、追っかけられていません。熊本台一と熊本を舞台に競うということ。

私は鹿児島県の出身なので、熊本にもある程度土地勘があります。自走したのは天草のみですが、いずれの舞台も「ああここか」と記憶が蘇ります。

本誌はこれらの舞台を自走し、アニメの対照される写真を収めていく内容ですが、筆者が自走されていますので、自動的にサイクルコースのガイドも兼ねることに。

地震前の貴重な記録でもある

熊本地震。大きな爪痕を残しました。

このような災害ではありますが、事実として、災害直前の自走記録を元に記事が作成されたことが、本紙の1つの特徴となっています。

特にそれが顕著なのが阿蘇コース。ラピュタの道の崩落を筆頭に、多くの場所で原型を留めないほどの地滑り等が生じました。

結果として、この本は、地震前の当地の貴重な記録となっています。

よく言われることですが、このような災害が起こる前には、皆にとって当たり前すぎるために、その土地の記録を敢えて残す人がいないという現象が往々にして生じます。

なかったら良かった偶然ではありますが、この本は確かに地震前の貴重な記録になっています。

私が次に熊本を訪れるのはいつになるかは分かりませんが・・・その際にはこの本を紐解いてみようと思います。

2016/09/20

ノルウェー・オスロ旅

に行ってきました。1泊2日。

福祉国家のモデルと言われ、国民の生活レベルが高いというイメージで語られる国ですね。ただ、歴史的には、デンマークとスウェーデンに挟まれていろいろと難しい舵取りを迫られていたようです。今もEU自体には加盟せず、独自の立場を維持しようとしています。

ヒースローからA320で2時間。空港は首都オスロ中心部から50キロ以上離れた所にありますが、市街地とは高速鉄道で結ばれており、あっという間です。

空港は一貫して木材を利用したデザイン
ただし行きは各駅停車を利用。ノンストップの高速鉄道は帰りに利用しました。
今回の旅では、敢えてキャッシュを用いずに行動しました。イギリスと同様、あるいはそれ以上にキャッシュレスになっているということですが、はたして。

町中につくと、まずは公共交通機関・博物館等がフリーパスになる「オスロパス」を購入。1日分ないし3日分のパスを購入することができ、これを用いればメジャーな観光地へは追加の手出しなくして行くことが可能です。便利。

ノルウェーはEUに加盟していませんが、近隣の加盟国との交通があるので、自動車のナンバープレートもEU共通のデザイン(ただしあのマークはない)を用いています。もっとも、オスロ自体の人口も多くなく(50万人)、また公共交通機関も整備されているので、自動車の量は日本の地方都市ほどもありません。

連節バスやトラムが結構な高頻度で運転されており、町も小さいのでさほど困りません。もっとも、トラムのルートは結構理解が難しいです。

video


さて問題の自転車はというと・・・残念ながらあまりぱっとしないというのが実際です。ごく一部自転車道や自転車レーンもありますが、あまり走行空間が整備されているとは言えません。石畳の道が多く、乗っている人はほぼMTBタイプ。そして、走行空間が整備されていないため、歩道通行も多く見られます。

よく言われる「欧米は車道が基本」は少なくともこの都市には当てはまらない感じです。

シェアサイクルも存在しますが、観光客には使わせる気が皆無です。ステーションには説明すらありません。

定番の観光ルートということでヴァイキング船(ロングシップ)
このほかにもアムンゼンが主役のフラム博物館など海に関する博物館が多数。
いずれもオスロパスで入れます。
このように公共交通機関が整備され、町もきれいなオスロですが、案の定物価は恐ろしく高い。ロンドンもたいがいですが、オスロの高さは半端ではありません。

1ノルウェークローネ12円程度ですが、500ミリリットルの水やスニッカーズが30クローネ弱(つまり300円超え)、レストランでちょっと食べれば150クローネスタート(2000円超え)。

はっきり言って高すぎです。日本目線だと3倍、UK目線でも2倍のイメージです。消費税も25パーセントあるのですが、それだけではないようです。

賃金も世界で一番高いということですが。

印象に残ったのが、家族連れ(その多くが子ども2~3人が普通)が歩いていると、お父さん、お母さん、小学生くらいのお兄さんそして未就学の子どもまで「全員が」スマホもってます。そしてポケモンをしているという。

さすがに日本でもそこまでは到りませんよね。お金持ち。

さて、カード払いの企てですが、結局現地では一度も現金を使いませんでした。というか両替もATM引き出しもしていないのでノルウェークローネがどういう紙幣や硬貨なのか見ていません。

カード払いで面白かったのが、チップ支払いの方法。

UKなどでは、カードリーダーにPINを入れる前に、「チップとして乗せる額」を入力する方法が一般的なのですが、ここでは、PINを入れる前に「チップ込みの総額」を入力することができます。別にそのままの数字をいれてもよいのですが、丸めた金額を入れるという意味では、こちらのほうが僅かばかりnudgeがかかっているように思います。

オスロフィヨルド
王宮 普通に庭園に入っていけます。ノルウェーの王家はかなりオープンなことで知られていますね。
特にあてもなかったので、体力的に無理のない範囲で主要な博物館を巡り帰還。リラックスしたいい休日になりました。

2016/09/17

自転車保険の義務化と業者の売り込みが同時並行で進むこと

保険未加入生徒は自転車通学禁止へ 大津の中学、市教委方針 : 京都新聞




という記事の紹介を頂きました。

自転車保険の義務化は近頃のトレンドです。

自動車と異なり、加害者がお金を持っていないリスク(信用リスク)が保険でカバーされているとは限らないため、自転車事故の被害者は、たとえ相応額の賠償が裁判で認められても、それを回収することが出来るとは限りません。

お金の回収ってのは本当に大変で、それを保険でカバーするというのは、出発点として私も支持しています。

ただ、保険というのは、どこまでいっても、負担の総量は変わらず、誰かが誰かのを負担する仕組み。

被害者が回収の苦労をしなくなることとは別に、その負担がどこにあるのか、その分担が適切は、常に考えなければなりません。

また、最近の保険の流れは「マナー向上」と絡めて語られますが、保険についてはは、古くからその存在により注意を怠る方向にドライブするという問題が指摘されています。

よく、保険をかけて事故を起こしても、そこそこ痛い額の手出しをしなくてはならない「免責額」というのが定められていることがありますが、これは、上記の問題に対処するための仕組みとして設けられているものです。

保険業者と自治体がタイアップすることの意味

今回気になったのは、一連の保険義務化の流れと平行して、自治体と保険業者がタイアップする動きがあることです。

直近では埼玉県のこれ。

埼玉県とau損保は協定を締結します― 自転車の安全利用や県の魅力PRなどを連携して取組 ― 

一見すると、県側に手出しなくしていろいろな協力を業者から得られる内容のように思えます。

しかし、このような県の協定と、上記のような学校レベルでの義務化のエンフォースメントが重なることには、ちょっとなあ、と思うところもあります。

冒頭の記事にあるように、例えば滋賀県の条例は、自転車保険を義務化したといっても、それに対する罰則はありません。したがって、それをエンフォースする仕組みが欠けていることになります。

しかし、学校に関しては別。今回、大津の教育委員会がこのような動きを取ることにより、少なくとも自転車を利用する生徒を含む家庭については、この条例が実効的なエンフォースメントを受けることになります。

さて、ここで、仮に特定の自治体が上記のようなタイアップを行うことで、当該損保について一定の「お墨付き」が得られる事実上の効果が生じたらどうでしょうか。

さらにすすんで、あまり考えられないのですが、学校が、「当校のルールを満たす保険業者はこれこれ」と指定してしまったら、どうでしょうか。

最近はちょっとわからないのですが、昔は、学校で使う服、靴、楽器etcといった機材について、特定の業者を学校がデフォルトとして用意し、そこから逸脱することは事実上選択肢として存在しなかった。そういう実態を経験した人は、多いと思います。

もちろん、例えば滋賀県の例で言えば、条例は保険への加入を義務化しているとしても、特定の業者を指定も推薦もしていません。

しかし、埼玉県のように、特定の業者と協定を結ぶ形を取ることは、事実上、一定の推奨効果があることは否定できないように思います。

競争を制約するような事実上の推奨が生じてはいないか

保険は強力な規制の下にある業種ではありますが、とはいっても、保険料については競争が働かなくては、消費者のためになりません。

しかし、そこにこのような事実上の推奨が生じてしまう場合、保険料についての競争は不十分なものになります。

極端な場合は、学校が高コストな商品(例えば、いろいろな「特典」「オプションサービス」がついた保険)を事実上のデフォルトとして提示することで、それ以降の生徒がそこに次々とロックインしてしまうことも考えられます。

人によっては規模の経済により安くなるというのを期待されるかもしれませんが、冒頭の少々の手出しなど、ロックインさせることによって今後得られる利益に比べれば、小さいことが多い(いわゆる「ティーザー」「おとり価格」)。

条例上は業者の競争に中立な内容であっても、学校の義務化の過程で、例えば県と協定を結んだ業者といった特定の業者に事実上誘導されることが仮にあるとすれば、それは、トータルで消費者のためにならない。

そんなことを考えたのでした。

2016/09/08

コミケ戦利品シリーズ(2) 荒サイコンビニガイド

同類のにおいがする!

私の弟は私のことをよく理解しています。

コミケ戦利品シリーズの第2弾は、Life Bike Balanceさんの「荒サイコンビニガイド」

内容はタイトルの通り、いわゆる荒川サイクリングロード(荒川下流緊急用河川敷道路)の近くにあるコンビニについての自転車目線のカタログです。

評価項目は、アクセシビリティ、駐輪スペース、トイレ、灰皿、補給食、イートイン、銀行ATM、雰囲気、特記事項。これを5段階評価するというもの。

内容はこれ以上でもこれ以下でもなく。直球ですね。

本の体裁は素朴の一言。後書きからも分かるとおり、よりよい自転車走行環境を!という熱意をそのままぶつけたとのこと。

#aminocyclo初版を思い出します。同じような熱意だけをドライバーに、自転車関係の道交法の解説を無理矢理コピー本にしたなあと(遠い目) 個人的にとても好感です。

後書きに次の記載があります。

何者かがこれ(注:コンビニの存在)を知らしめ、サイクリングやジョギングなどのアクティビティを楽しむ人達が頻繁に利用する店舗が出現すると、コンビニ業界の戦略も変わるやもしれません。

常日頃思うのですが、我が国の基幹産業の一つであり、圧倒的な経済効果の広がりを有する自動車の前には、自転車はとても微弱な存在です。

よく見てみれば、例えば健康上のメリット等、1つ1つは小さくとも積み上げれば国家レベルでの大きな利得になる。例えばUKなどではそれが現に政治的に大きな力を得るに到っています。

しかし、日本のように自動車産業が巨大な力を持っており、これに対して構造上組織化が難しい自転車産業・ユーザーという構図がある場合、政策形成において、常に自動車に有利なバイアスがかかってくることは不可避です。

もちろん、それが民主主義社会ということですが。

そういう中で地道に出来ることがあるとすれば、交通にダイレクトに関わる業界のみならず、全く関係ない業界に、自転車から得られる利得を及ぼすこと。それを通じて、少しずつ政策へのインプットを強めていくことのほかないように思えます。

例えば、都心での宅配便による自転車利用。
地方であれば、自転車を用いたサイクルツーリング。

本書の文脈で言えば、自転車ユーザーが地域の店舗の常連になれば、そのような店舗の経営者は、自転車利用を増やす政策への支持者となるでしょう。

1つ1つは小さな事ですが、自転車ユーザーが様々なところに好影響を及ぼす。そういう努力が求められているように思うのです。

内容自体は淡々とコンビニの評価を述べているだけですが、そんな熱さを感じられる本書なのでした。

2016/09/02

コミケ戦利品シリーズ(1) 温泉ヒルクライム Spa&HillClimb

当ブログは元々コミケに出展していたサークルを由来としており、Twitterのアカウントもその界隈の方々を追っかけるために作ったものです。

イベントには長らく参加できていないのですが、以前より自転車、旅行、評論系のサークルを中心にウォッチしていました。

今年は、帰国前に弟が夏のコミケに遊びに行くということでしたので、自転車島の訪問を依頼。代理購入してもらったものをロンドンに持ち帰ることができました。
適当に目についたものを、とお願いしたところ、こんな感じで調達してきてくれました。

順番は手に取った順です。

1 温泉ヒルクライム Spa&HillClimb by DAIさん帝国

  • Vol.3 2015 Summer 渋・草津編
  • Vol.4 2015 Winter 乗鞍・上高地編
  • Vol.5 2016 Summer 美ヶ原・霧ヶ峰編
の3冊。いずれも、周辺の山と温泉地を自転車で巡る旅行記。

温泉と山、ヒルクライム。

私自身は、温泉に入るとそれなりに体力を消耗したり、再び走り出すのが億劫になるのが容易に想像できるといった理由により、あまりやったことがありません。通過はしても入らず。

しかし、日本の地理は山あるところに温泉有りといっても過言ではない。これらを同時に楽しむのは、我が国の特権とも言えます。アルプスにもピレネーにも温泉は(知る限り)ほとんどありません。もったいない。

バイアスは承知ですが、方向性は別にせよ、往々にしてエクストリーム化する傾向のある自転車趣味。1つのものを追及するより、このように余裕を持って楽しむほうが意外に難しいとも感じます。

いずれの記事も、コースプロファイルや斜度等の記載はあるものの、内容の中心はそこではなく。山々の風景や季節の空気、そして道中の温泉がメイン。

もっとも、自転車抜きでもこの内容が成立するかというとそうではなく。というのも、コース選択が、短いと40キロ、長くても120キロという範囲を突いており、その中で走行+αをいかに楽しめるかを追究しているからです。この距離は、ドライブというにはやや短く、徒歩では不可能。自転車で無理なく行ける範囲で絶妙なコースセレクションがされている。

本の作りも素敵ですね。この種のはブログでもよくあるネタではありますが、印刷物となると全く得られる印象が違うように思います。

筆者の方の温泉愛を感じてほっこりとした気分になる本でした。