2016/06/20

ウェールズの田舎を600キロ走りながら考えたこと3 田舎道の価値

このエントリーをはてなブックマークに追加
 
こんな1車線の荒れたマウンテンパスばかり
今回のコース、多くが写真のような荒れた峠道。
1車線、舗装はガタガタで砂利も浮いており、斜度やカーブも容赦ありません。

これに対し、日本の峠道は、多くが2車線、あるいはせいぜい1.5車線。すれ違いは基本的に容易。カーブも適切に配置され、場所によっては、繰り返し改良工事が行われています。
莫大な金が突っ込まれています。

こちらはどうでしょうか。例えば上記写真の場所は、風光明媚であるだけでなく、地域間を結ぶ最短経路でもあります。

本件のような場所、日本においては、かなりの確率でいわゆる「スカイライン」的な整備が行われるように思われます。最低2車線、自動車が気持ちよくドライブできる線形、そして多くの場合、駐車場付展望台とカフェなどが併設されます。

実際、そんな道が昭和の後半からバブル期にかけて日本全土に山ほど作られました。

今はどうでしょうか。
道は莫大な金をかけて維持されていても、併設された施設の多くは廃墟になっているようです。

私の地元の鹿児島県で調べても、簡単に見つかります。多分、みなさんの地元にもあると思います。

キャンピングカーで放浪の旅 Ⅱ|日本一美しい佐多岬も、今は廃墟の岬 ~南大隅町~  今日1日のアクセス数が、48000を越えた。  他  (2012/3/10)



Ruins in Kagoshima - 鹿児島県の廃墟 - 指宿スカイライン編




ウェールズの田舎は、そんなことはしませんでした。あるがまま。

そこを通るのは、牧羊農家の作業用車両か、ハイカーか、我々のような自転車乗りかです。若干の自動車観光客もいますが、こんな道路ですから、大挙して押し寄せてくることはありません。

カフェなどが廃墟になり、いまや通過交通しか利用しない日本のスカイライン。そこを通るのは、その土地に関心がある人ではありません。

これに対し、ウェールズの田舎道は、その土地に関心がある人しか引き寄せません。

どちらがその土地に価値を見出しているのでしょうか。

勿論、ウェールズの田舎道を我々のようなサイクリストが通ることが、直接的な経済価値を生み出すかどうかはかなり疑問です。お金を落とす場所がそもそもありません。

しかし、消極的に見ても、大々的な道路の整備を行わなかったことにより、かなりの額のお金が節約されています。スカイライン的な整備のイニシャルコストだけで、元々の道路を何年、何十年も維持することが可能でしょう。

そして、この土地に直接的な経済価値はなくても、このように保存された山々は、量産型のスカイラインには存在しない魅力を醸し出しています。

価値がわかるかどうかが問われています。 | いすみ鉄道 社長ブログ





いすみ鉄道の社長ブログは、いつも示唆に富んでいます。
阿蘇の外輪山のふもとを走る南阿蘇鉄道の写真を見ると、「いいところだなあ。行ってみたいなあ。」とたくさんの人が思います。
これは広告塔でありツールなわけです。
そして、その写真を見て、熊本県や阿蘇山に観光客が来るわけです。
でも、だからと言って阿蘇観光に来る人たち全員が南阿蘇鉄道に乗るわけではありません。
だから、ローカル鉄道は観光のツールにはなるけれど、それだけで黒字になるというものでもありません。
そこのところをどう考えるかということが求められるわけで、それがローカル鉄道の価値だということです。
たとえ直接お金を産むことはなくても・・・上記のような発想に思い至る自治体は、残念ながらほとんどなかったように思います。

【経済裏読み】琵琶湖に進出した自転車業界の巨人「ジャイアント」 82歳カリスマ創業者“キング・リュウ”が「聖地」宣言(1/5ページ) - 産経WEST



そして、今、外国資本が、その価値に着目し、積極的に掘り起こしにかかっています。



しかし、残念ながら、日本国内からこのようなムーブメントが自発的に起こってくるには、まだまだ時間がかかりそうです。

過去に、ある自動車メーカーの本拠地が所在する県において、地元紙が、自然発生的に集まってきたサイクリストにつき、具体的な問題点を指摘することなく「マナーが悪い」という悪印象だけを喚起する記事に接したことがあります。

私がこの記事に反発を覚えたのは、記者、そして取材対象の地元住民が、通過交通=その土地に価値を見出していない人、を、サイクリスト=その土地に価値を感じて集まってている人 の上位に置くことを当然の前提にしているように思えたからです。

勿論、通過交通とサイクリストの調整は常に必要。問題があれば、具体的に指摘し、調整しなくてはなりません。しかし、当該記事は、そのような建設的な志向ではなく、ただ悪印象だけを植え付ける内容。



いつまで山道を通過交通のために莫大な金をかけて「整備」し続けるのか。

そんなことをぼんやり考えながら走っていました。

0 件のコメント:

コメントを投稿