2016/05/18

前ブレーキレバーは右側?左側?

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30代男性「プロのロードバイクはブレーキレバーが左右逆では?」 - cyclist




自転車レースをご覧の方には常識ですが、プロロードレースにおいては、かなりの割合の選手が、前ブレーキを左手のレバーに設定しています。

そして、メジャーコンポーネントメーカーのキャリパーブレーキは、左手レバーに前ブレーキを設定するほうが、ワイヤーの取り回しが自然になるように設計されています。

その理由について、上記記事はいろいろと推測しています。

ただ、この記事の内容は、栗村さんの経験(伝聞)または推測の域を出ないように感じます。

よく言われるのが、UKや日本のように左側通行の国は右前ブレーキであり、これに対し、大陸ヨーロッパは左前ブレーキであるという傾向。

これはどうして?いつのタイミングでこうなったのだろう?

とても気になるところです。

というわけで、ウェブで分かる範囲ですが、調べてみようと思いました。

出発点・UKではどうか

UKでは、右前ブレーキが法令によって義務づけられています。

http://www.legislation.gov.uk/uksi/2010/198/pdfs/uksi_20100198_en.pdf
Supply of assembled bicycles
4.—(1) Subject to paragraph (2), a person must not supply a bicycle unless the requirements of paragraphs (3) to (12) of this regulation are satisfied.  
(中略) 
(4) Where the bicycle is fitted with brakes which are intended to be hand operated— (a) the brake lever intended to be operated by the right hand must operate the front brake; and (b) the brake lever intended to be operated by the left hand must operate the rear brake. 
ただ、この理由付けについては、必ずしも明確ではありません。
一般によく聞くのは、前ブレーキのほうが制動力に寄与することから、それを利き手でコントロールする、というもの。

この説明は、経緯に照らしても、比較的説得力があります。

古い自転車は右前ロッドブレーキが多い?

第1回ツールドフランスの写真
フランスだけど右前ロッドブレーキ!
実際、古い自転車の多くが、前輪ロッドブレーキの操作を右手に設定していたようです。
ベンツ博物館にあった1910年代?のベンツ製自転車
右前ロッドブレーキ
とても美しい
これに対し、やや微妙な説明もあります。ブレーキの配置の違いは、通行方向の違いに由来している、この違いが右前左前に反映されているのだ、という説です。
Cables



My theory is that it is based on the reasonable idea that you should be able to have your primary braking hand on the handlebars while making a turn signal with the appropriate hand -- coupled with the erroneous idea that the rear brake is the primary brake.
私の説だが、これは、主となるブレーキを操作する手をハンドルバーに置いている間、その余の手で手信号を出すことを可能にするためではないかと考える・・・ただし、リアブレーキが主となるブレーキであるという誤った考えと共に。
微妙と述べたのは、この説明は、理屈がややトリッキーだからです。

左側通行であり、キープレフトを徹底する場合、右手で手信号を出すことが、後続車の視認性の関係で合理的であるように思えます。

そうすると、日本やUKのように左側通行の国においては、手信号とメインのブレーキ操作を同時に可能にするためには、左手を制動力あるブレーキに設定すべきではないか。

前ブレーキをメインブレーキと考えると、左手が前。

逆になっちゃいますね。

そこで、この説は、「後ろブレーキがメインブレーキという誤った考え」があったのではないかと主張しています。

しかし、過去のロッドブレーキの自転車を見る限り、この考え方は本当かなあ、と疑問に思っています。この点が、ちょっとトリッキー。

※後輪ブレーキだけの自転車のほうがメジャーだったという根拠があれば、ぜひ教えて下さい。

Why Do Brakes Differ From Country To Country? | CyclingTips




この記事も「後ろブレーキがメインブレーキという誤った考え方」という説明をしています。

道路の中心側にハンドシグナルを出すのは必然か?

ただ、歴史的には、左側通行の場合右手、右側通行の場合左手でハンドシグナルを出す、というのは必然ではなかったようです。

言い方を変えれば、ハンドシグナルを道路の中心側に出すのは必ずしも必然ではなかった。

実際、先日訪問したベンツ博物館の説明によれば、最初期の自転車は、路肩に転落することを防ぐため、ドライバーは道路の中心側ではなく、道路の外側に座っていたということ。

そして、その頃の自動車にはウィンカーなどありませんから、ハンドシグナルも、座った側のサイドから出していたようです。

証拠の確保を忘れていたのが悔やまれます

この場合、右側通行の国では、右手でハンドシグナルを出すことになり、左側でブレーキを操作することには、合理性があります。

大陸ではどうか

さて、これに対して大陸。

現在は概ね左前ブレーキとなっているようですが、過去の写真を見る限り、元々は必ずしもそうでなかったようです。

既に示したとおり、第1回ツールドフランスの写真も、20世紀初頭のベンツ製自転車も、右前ロッドブレーキです。

右手で制動力の高い前輪をコントロールする、というのは、少なくとも当時は標準的な仕様であったのかもしれません。

実際、大陸の中でも違いがあります。
現に、イタリアなどは、ごく近時まで右前ブレーキがプロレーサーの間でも使われていたようです。

例えば、古くはファウスト・コッピ、最近ではマルコ・パンターニの写真を調べてみてください。

いずれも右前ブレーキの設定になっているのが分かります。
Fausto Coppi, Tour de France 1952 02

謎は深まるばかり

こんな感じで様々な情報が出てくるので、謎は深まるばかりです。

きちんとやるのでれば、どうしてもネットでは限界があるので、書籍や特許公報等の資料に当たる必要がありそうです。

ただ、なかなかそういう時間もないので、次回は、さしあたり、ネットで見つけた古い自転車の画像をもとに、ヒントを探ってみようと思います。

続きます(たぶん)

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