2016/05/14

生活道路にオービスを設置すること ちょっと費用対効果が悪かろうなあと

このエントリーをはてなブックマークに追加
 
という報道。
事故防止という観点から好意的なコメントが多いようです。

「国民監視」というテンプレは完全に度外視した上で、私は、お費用対効果の点から、この施策は少なくとも単体ではあまり効果がないのではないかと考えているところです。

 「やらないよりはまし」という程度の意味はあるかもしれませんが、1台1000万円+維持費用を費やすリソースを、もう少し他に投入する方が意義があるのではないか、と。

理由は次の3つ。

数台導入しても、摘発率は改善しない

オービスは、ある路線のあるポイントで速度違反をした車を捕まえる装置です。
そうでない場所については、何らモニタリングを行いません。

したがって、現在は、高速道路で速度超過をおこしやすい、事故のリスクが高いといった場所に選択的に設置されています。

翻って、生活道路において、スピード超過に起因する加害が生じうるリスクがある場所は、無数に存在します。

したがって、数台導入した程度では、雀の涙ほどの摘発率の増加しか見込めないように思えます。

加えて、オービスには、プライバシーといった権利との兼ね合いから、設置する場合には予告看板を伴います。

さらに、最近は、レーダー探知機、カーナビ等のデバイスにより、オービスの設置場所を見極めることも容易になってきています。

これらの事実が意味することは、オービスは、設置された場所以外に抑止効果が期待しがたい装置ということです。サイレントで待ち伏せするねずみ取りとは違う。

以上の理由により、数台導入する程度で、摘発率について有意な向上は見込めないでしょう。

リスクが高いと評価できる生活道路に限っても、カバーするのは現実的には不可能です。

スピード違反に対するペナルティの程度が低い

摘発率×ペナルティの額=ペナルティの期待値(Expected Damage)

違反を犯すかどうかは、上記の方法で計算されるペナルティの期待値について「こりゃ嫌だ」と思うかどうかに左右されます。

したがって、摘発率が低い(見つけにくい)違反の場合は、ペナルティの期待値を高めるために、ペナルティの額を高くすべきというのが、規制における基本的な考え方です。

しかし、現在のスピード違反に関する規制は、大幅な速度超過により刑事手続(赤切符)となるものを含めても、ペナルティの額は摘発率との関係であまり高いようには思えません。
反則行為の種別及び反則金一覧表 警視庁




現に、簡易裁判所には、スピード違反で捕まる人が途切れることはありません。

この問題は、生活道路においては特に深刻です。

なぜなら、生活道路のようにマージンが少なく、歩行者が近接している場所においては、わずかなスピード超過であっても、歩行者に対するダメージは大きく違ってくるからです。

しかし、上記警視庁の反則金一覧表を見れば分かるとおり、生活道路か幹線道路かで区別した基準にはなっていません。

例えば、生活道路、制限速度30キロ規制の場所において、44キロで走行したら超過14キロとなりますが、これは反則金の区分では最低の額に位置します。
しかし、30キロと44キロでは、リスクの程度は大きく違うように思います。

今のペナルティは、抑止力を適切に発揮出来ない仕組みのように思います。

病気や能力の衰えによる暴走には対応できない

オービスは、スピードを抑えることを促す装置です。

つまり、病気や能力の衰えによって意図せず暴走してしまう人には、なんの効果もありません。

昨今、この種の暴走が目立っているのはご承知の通り。

まとめ そもそも生活道路を高速で走らせない仕組みが大切

以上から分かるように、私の理解では、オービスの効果は、「ないよりはまし」という程度のように思えます。
せめて、ペナルティをもう少し適切なレベルに引き上げることが、この措置を意味あるものにするように必要であるように。

限られたリソース。

同じ費用であれば、例えば生活道路への侵入を抑えたり、速度を物理的・心理学(本能)的に抑えるデザインに費やすべきではないかと考えているところです。

いかがでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿