2016/03/09

マリア・シャラポワの禁止薬物陽性とその弁解と/残念な弁解は正直者の評判も巻き込んで毀損する

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いろいろ言われていますが、端的にいうと、本件の最大の問題は禁止薬物陽性の事実ではなく、その弁解が最悪クラスにうさんくさい内容であったことであったと感じています。

またも背後者をかばう構造が見え隠れ・・・

最高のテニスプレイヤーの一人であるマリア・シャラポワがドーピング検査で陽性が出たと告白した記者会見。

彼女は、本件について、次のように説明しました。
I received an email on December 22 from WADA [World Anti-Doping Agency] about the changes happening to the banned list and you can see prohibited items, and I didn’t click that link.
Read more: http://metro.co.uk/2016/03/07/maria-sharapova-announces-she-failed-drug-test-5738883/#ixzz42MMXl1Gz
(訳 12月22日にWADAから禁止薬物リストの変更があった旨と禁止薬物のリストが送られてきたが、私はそのリンクをクリックしなかった)

ここで言明されているように、彼女は、見落としたのは自己の個人的なミスであると説明。

・・・これを見て、またか、と既視感を覚えました。またも背後者は隠される。

ご承知の通り、彼女は世界トップクラスのアスリート。
BBCは、次の指摘をしています。
where Wada's annual budget is $25m - less than Sharapova routinely makes from her endorsement deals alone
http://www.bbc.co.uk/sport/tennis/35754677
(訳 WADAの年間予算は$25mだが、これは彼女の広告収入を下回る)

 この記事は、他にも、
  • 2015年から監視リストに入っていたことについては何も語っていない
  • これが指定されたのはパフォーマンス増進目的で用いられていた実態があったからだ
  • 彼女が長年住んでいたアメリカでは許認可を受けられていない
との突っ込みを行っています。

いずれももっともな突っ込みだなと。

この中で、私がまず最初に気になったのが、冒頭の個人的ミスという弁解。

上記記事によれば、彼女の賞金収入は全体の収入の20%。残り80%は広告料等の収入ということ。このために相当の専属スタッフが雇われている筈で、その中には当然多くの専門家も含まれている筈。

そのような体制があることは明らかであるにもかかわらず、個人的なミスであると言い切る。

残念ながら、これを見たときに、背後者をかばうために、自分の個人的人気を盾にしたんじゃないか、としか感じませんでした。

直接の証拠はありません。しかし、この弁解自体の不自然さは、この弁解で何を守ろうとしているのかという点について、色々推測してしまいます。

メカニカルドーピングの件でも話題にしましたが、このような事案においては、選手の個人責任はどこまでも不可避であったとしても、その背後には組織的な問題がある筈です。

組織的であったか個人のミスであったか。これは情状にも絡みますが、それ以上に、今後の再発防止には決定的に重要なことです。

そこに切り込まず、どのような動機かはともかく、個人のエラーの問題とする。

宿痾の一片がまた現れたように感じたのです。

残念な弁解の外部性/スポーツ界全体のReputationへのダメージ

話は飛びますが、いわゆる黙秘権について、こんな説があります。

残念な弁解というのは、本人が信用されないだけでなく、社会全体において「弁解」の信頼を下げる効果を生みます。

本件について、ミスというのはなくはないことだと思います。それがそうだとすれば、やむを得ない。

しかし、その弁解において「個人的なメールの見落とし」の主張を始めとして、突っ込み所満載の内容が述べられた。

他のアスリートからも様々な突っ込みがされています。


このような弁解は、アスリート全体の評価を大きく下げる効果がある。このことが最も残念だと思ったのでした。

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