2016/02/02

メカニカルドーピング疑惑/本件は児童虐待案件に近い、かつ推定無罪を忘れてはならない

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Owner of electric bike seized during Cyclocross World Championships revealed - Cycling Weekly



話題沸騰のメカニカルドーピング発覚。

上記記事が結構コンパクトにまとめてあります。



要点は、

  • シクロクロスワールドチャンピオンシップ U23女子にエントリーしたFemke Van den Driessche選手(19)のピットにあったバイクからモーターが発見された。
  • 選手はこれを自分のバイクであるということを否認
  • 元プロライダーのNico Van Muylder(39)が、これは自分のバイクだと述べて、選手の主張をサポート。彼は選手の家族との親交がある。
  • これをメカニックが間違って持ち込んだというのが選手の説明。
  • UCIのルールによれば、違反認定されれば最低6ヶ月以上の資格停止と2万~20万スイスフラン(230万~2300万円)程度の課徴金。
現時点ではこんなところですが、巷にはいろいろな噂が飛び交っています。

注目を集めていたのは、BBのモータードーピングのみならず、ホイールに電磁石を仕込んだドーピングだというGazzettaの記事。
Mechanical doping: Forget concealed motors - electromagnetic powered wheels are now the weapon of choice in the motor doper's arsenal. Maybe | road.cc

ただし、出所不明の言いっ放しの記事とのことです。

もっとも、現時点では、推定無罪を意識してしすぎることはない

上記弁解のうち、メカニックが間違って持ち込んだ、という指摘については、確かに非常に不自然。様々なメディアで、これについて多くの非難が行われています。

ただ、本件については、事実としてモーターが出てきたこと以外の背後関係については、かなり慎重な見守りをしなければならない案件であると考えています。

理由1:本件は年少者が被疑者となっている=児童虐待に類似する関係がある可能性が高い

まずこの点が最も重要です。ベルギーの法律上、選手は完全に成年。しかし、19歳という年齢は日本では未成年ですし、成年だとしても、年長者の影響を強く受けることは避けられません。

この種の行為が、一朝一夕にできるものではないことは容易に推測できます。また、技術の進歩でハードルは相当下がったものの、資金的・技術的に一定のバックアップがなければ不可能でしょう。

そうであるとすれば、本件は、まずもって他の年長者のChild Abuseを懸念すべき案件です。

指導育成する側が、結果至上主義に陥り、上下関係を利用してこのようなツールの使用を押しつける。ありそうな筋書きです。

間接的ですが、この筋書きがありそうだな、と思わせるのが、選手のインタビュー。



あくまで憶測に過ぎませんが、まともな助言者(弁護士等)がついたのなら、この段階でマスメディアに単独で露出させるなど自殺行為です。案の定、不自然な弁解は強い非難を受けています。

しつこく述べたFiduciaryの観点=本人の利益を至上に考え、他の人の利益を排除する からは、ちょっと合理的とは思えない印象があります。

むしろ、背後にいる何者かを守るためにこの振り付けをさせられている、という可能性もあるように思えてしまいます。

いずれにしても、このような若年者が、全てについてイニシアティブをとっているとは思いにくい。そこを無視して、この選手を叩いても、巨悪を逃がすだけになるように思えます。

児童虐待は、典型的には殴ったりを想定しますが、このように違法/違反行為を強要、教唆あるいは慫慂するのも立派な虐待です(万引きをさせる親を想定して下さい)。

本件は児童虐待類似の問題を抱えており、選手個人への攻撃はかなり慎重になるべき案件のように思えます。

理由2:未だ調査が始まったばかりであり、Independent Adviserがついての正式な取調の結果は出ていない

理由1にも関係しますが、本件については、まだ調査が始まったばかりです。

彼女に利益相反のない助言者がついてきちんと聴取(これは弁明の機会でもあります)を受けた結果でなければ、その価値は評価できないように思えます。

この点についてはUCIの手続を見守るしかなく、その内容が明らかになるまでは、推定無罪という原則を意識するのが必要と考えます。

Willierからの訴訟提起の可能性?

ちょっときちんと調べていないのですが、選手がこのまま否認を続けた場合、競技団体と選手の間の紛争については仲裁合意があることが見込まれるため、公開法廷ではなく仲裁で処理されるものと想定されます。

※ここは後で裏を取ろうと思います。

この場合、必ずしも問題の全容が明らかになるとは限りません。

これに対し、選手のバイクを供給していたWillierから、イメージを損ねたとして訴訟を起こす動きがあるとのこと。
Wilier Triestina threatens legal action over motorised cross bike - Cycling Weekly




記事では、選手のほか、責任ある主体すべてについて"legal action"を取ると述べています。

選手は分かりませんが、背後者について仲裁合意があるとはあんまり思えませんので、仮にこれを起こす場合、公開法廷での民事訴訟となる可能性が高い。

そうであるとすれば、この問題が公開法廷で審理される可能性があることになります。

私は、Willierの行動に注目しています。仮に同社が選手だけでなく背後者にも訴訟をしかけるとすれば、この問題が背後関係も踏まえて公開法廷で審理される可能性が出てくるからです。

本当に本件をシリアスに捉え、同社及び業界のイメージを守りたいのであれば、そこまで徹底してやってほしい。

そうではなく、選手個人を悪者にして終わるのであれば、それは残念ながら裏に何らかの力学があったと推測してしまいます。

大変気になります。

日本の業界の反応

選手個人を非難する意見が目立つほか、やはり、背後関係はうやむやになる、という反応が多いように思えます。

それは一つの「現実的」な見方とは思いますが、本件は民事に留まらず刑事訴訟にも発展しかねない問題です。

ベルギーの司法部門がどう対応するか、理屈としては業界の力学に反する大火に発展する可能性は無くはないのではないか、と素人ながらに見ているのですが、どうでしょうか。

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