2016/01/02

日本における国際サイクルツーリズムの可能性?/デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

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UKで暮らして1年余り、友人らとライドしたり、近隣国に出かけていくうちに、改めて日本の自転車ライフについて考えることが増えました。

今日は、このような目線から、日本における国際サイクルツーリズムの可能性について考えてみたいと思います。

私が知る限り現時点ではまだマイナーな日本の国際サイクルツーリズム。ポテンシャルは高く、改善可能も点は多くあるように思えます。体感ベースの話に過ぎませんが、おつきあい下さい。

ネタ本:デービッド・アトキンソン 新・観光立国論


ヒントはちょっと前に話題になった本。
私がこの人を知ったのは日本を離れてUKに暮らすようになってから。
英国人、「おもてなし至上主義」日本に違和感 | レジャー・観光・ホテル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準



はじめての海外生活に入り、日本という国はさほど関心を集める国ではないな、と実感し始めていた頃。指摘はすんなりと「落ちた」のが印象に残っています。

というわけで、年末の時間、著書を読んでみることにしました。電子書籍で購入可能。230ページほど。3時間程度でサクサクと読むことができました。
個人的な事情として、KindleはAmazon.comのために使用されているので、Sony Readerの方で購入。

内容のエッセンスは上記ウェブのインタビューにコンパクトにまとまっていますし、Amazonの書評にも様々なコメントが並んでいます。これらを眺めて頂ければアウトラインはご理解頂けると思います。

長所を客観的に把握し、それを高く売れる相手を探し、その人にカスタマイズして徹底的に売り込め

本書には様々なメッセージが込められていますが、私なりにまとめれば要するにこういうことではと。
  • 長所を把握
    日本人内部の思い込み=情緒 を排除し、客観的な要素を国際比較して行うこと。
  • 高く売れる相手を探す
    金を落としてくれそうな人をターゲットにしろということ。
  • カスタマイズして売り込む
    今のままを見て欲しい、分かって欲しいというナイーブな気持ちではなく、長所をターゲット目線で積極的にアレンジしろということ。
著者の「おもてなし」を筆頭とする日本人が想起するアピールポイント(治安の良さ、etc)への批判。日本人の自己認識は客観性を欠き、売上へのインパクトも小さく、しかも自分を変える気がないというかなり辛辣なものです。

しかし、筆者は同時に日本には客観的にもかなりの強みがあるとも明言。欠けているのは「調整」であると強調しています。

そこで、このような視点から、日本のサイクルツーリズムの可能性を考えてみようと思いますが、まずは前提として、ヨーロッパでどんな感じなのかを簡単にご紹介。あくまで私の見ている周りの話ではありますが。

ヨーロッパ人サイクルツーリストはどんな人たちなんだろう

ヨーロッパでのサイクルツーリスト。何を好み、どんな特徴があるのでしょうか。
まずはこの動画をご覧頂くのがいいと思います。


GCNはUKのメディア。この視聴者による評価になりますが、概ねヨーロッパ人の感覚を反映しているとみてよいと思います。これによれば、順位は次の通り。

  1. フランス
  2. イタリア
  3. アメリカ合衆国
  4. ベルギー
  5. スペイン
  6. オランダ
  7. オーストラリア
  8. イギリス
  9. ニュージーランド
  10. スイス
コメントを聞く限り、自然、サイクリングインフラを要素として挙げつつ、これらの多様性と自転車文化の層の厚さが決め手となっている印象を受けます。

次に、どのような人がターゲットとして想定されるのでしょうか。

金も余暇ももってる

まずなによりも。各国の一人当たりGDPが高いのはいうまでもないですが(適当にググってね)、自転車を趣味にする層はその中でも中上位層に位置すると推測されます。

ウェットな冬を逃れ南方の島へ 英ロードバイクファンがリードする自転車合宿産業 - cyclist



例えばこの記事。
イギリスではこのロードバイクブームをして「サイクルスポーツは新しいゴルフだ」とよく形容されるのですが、30~50代のビジネスパーソンたちが高価なバイクボックスを携えていそいそと空港に集合している姿はまさにちょっと前までのゴルファーそのものですね。
私の実感も同様。
最近参加したブルベでも、参加している人は中年以上が中心。そしてバイクはいうに及ばず、それ以外の細かいところに色々金がかかっている。
フランスに行った際も、TDFを待ちつつ峠を登っている人の多くはお金も余暇もある人ばかりです。

ただし、これを裏返すと、目が肥えており要求が高いとも言えそうです。

デービット氏も、著書の中で、日本人のホスピタビリティは決まったマニュアル通りでは手がこんでいるが、柔軟な対応には欠けると言及されています。自転車乗りの多くが自由な行動を好む・・・のかどうかは分かりませんが、必ずしも現在の日本の環境が彼等にとって満足のいくモノとは言えないかもしれません。これはもう少し時間に考えてみようと思います。

山が好きだ!

日本の自然が世界の中で飛び抜けているかどうかは人それぞれの評価と思いますが、事実として言えることはとても山が多く、かつそこへのアクセス&クライムのルートがよく整備されていること。

多様性もあります。これはまさに上記の要素にマッチします。

フランスとイタリアがサイクルツーリズムの目的地でワンツーフィニッシュ。その多くがアルプス、ピレネーといった山岳に集まるのであれば、この要素はヨーロッパのサイクリストにとって魅力的な要素になり得る-そうでない人もいるでしょうが-と思います。

私の周りでも、実際に多くの自転車乗りがバカンスにアルプス、ピレネー、そしてマヨルカ島などに出かけていきます。UKにはあまりいい山はないんですよね。

ただし、後で述べるように、単に山があるだけなら敢えてそこに行く人はあまりいないでしょう。このような環境は調整できるものではありませんので、他の調整できる要素で魅力を加える必要があるように思えます。




次回は、これらを踏まえ、日本の魅力と調整を要する場所について検討してみようと思います。つづきまーす。

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