2015/08/19

(典型論点)一輪車は道路交通法上の軽車両なのか

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「一輪車は車道を走れますか」
「一輪車は自転車の仲間ですか」
「一輪車は軽車両ですか」

というよくある質問があります。

実はこの論点、道路交通法を読み下すだけでは簡単には解けない問題。
ちなみに他の法律では他の定義がありますが、ここでは割愛します。

Google先生にきくと、上位の検索結果では、大きく分けて

「法2条の軽車両の定義に該当するから軽車両だ」
「軽車両ではなく道路交通法の適用はない」
という2つの回答が並立しています。

道路交通法の文言からは分かりにくい

軽車両及び自転車の定義は、道路交通法2条に定められています。
十一  軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
十一の二  自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
まず11号の2、自転車の定義からみると、頭のほうに「二輪以上の車」というのがあるので、この時点で一輪車は除外されます。

しかし、自転車に当てはまらないからといって、軽車両に当てはまらないとは限りません。実際上、自転車の交通ルールはほとんどは軽車両の交通ルールと同一なので、軽車両に該当するかどうかは重要なポイントです。

そこで11号見るに、軽車両とは、自転車、荷車以外にも、
人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)
であって、ただし、
身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの
と定義されています。

普通に読めば、一輪車は、人の力により運転する車に該当するので、軽車両にあたるようにも読めてしまいます。

実際、荷物などを載せて押して進むタイプの「一輪車」は、軽車両に該当すると考えられているようです。

警察の考えと思われるもの - 遊具であり(軽車両ではない)

これに対し、事実上の公定解釈のネタ本といえる、
  • 16-2訂版 執務資料 道路交通法解説 道路交通執務研究会 編著 野下 文生 原著
には、次の記載があります。

道路交通法2条の解説

まず、道路交通法2条の11号の2、自転車の箇所の記載には、次の記載があります。
なお、人の力により運転する二輪以上の車・・・であるから、リンタク、買物用三輪車、足踏式四輪車は自転車に該当するが、一輪自転車(法76条3号参照)は、この法律にいう自転車には該当しない。
これは「二輪以上の」という文言から、当然のことのように思えます。

他方で、11号の軽車両の箇所には、特に一輪車についての言及はありません。

さて、上記の自転車の箇所の解説には、「法76条3号参照」(ママ)という記載があります。
これは何のことなのでしょうか。

道路交通法76条4項3号の解説 

実は、道路交通法76条3号(特に項番号を付けない場合、1項と読むのがお約束です)という条文はありません。おそらく、これは、同条4項3号を示しているものと思われます。
4   何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
三  交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
この箇所の解説には、次の記載があります。
球戯をし、ローラースケートをし、又はこれらに似たような行為という意味である。これらに似たような行為としては、スケートボード、アイススケート、バドミントン、羽根つき、石けり、フラフープ、凧上げ、鬼ごっこ、竹馬乗り等を挙げることができる。
図のようなローラースルーは、軽車両ではないかといの疑念をもつが、その構造、利用の方法及び実態、型式等から判断した場合、法にいう車というよりも、ローラースケート等と同様に、子供用遊戯道具であって、本来道路外の場所で用いるべき用具と解される。
一世風靡!ナツカシモノ
ローラースルーGOGOより
一輪自転車は、自転車に該当するのではないかとの疑念があるが、これは自転車の要件を欠いている(法第2条1項11号の2参照)ので、この法律上では、単なる遊具又はスポーツ用具と解さざるを得ない。
この本によれば、結論として、上記のようなローラースルーと同様、子供用遊具であると考えられているようです。

論理の飛躍 - 自転車じゃない→単なる遊具又はスポーツ用具?

・・・なるほど、自転車じゃないから道路交通法上は遊具・・・ってこんなので納得できるわけないでしょう!
自転車じゃなくても軽車両の可能性はあるわけで、自転車であることを否定しても、軽車両にも該当しないことの説明がさらに必要です。
上記説明はあまりに論理が飛躍しているように前々から思っていました。
冒頭に引用した弁護士の見解も同様なのですが・・・

他方で、もう1つ前の段落には、もうすこし実質的な説明があります。
その構造、利用の方法及び実態、型式等から判断した場合、法にいう車というよりも~
という点。要するに、道路交通法の諸ルールを適用するようなモノなのか?という実質判断が、法2条にいう自転車や軽車両の文言の定義より前にあるということを上記記載は示しています。

軽車両ではないという結論を採るにしても、理由付けとして「自転車じゃないから」で完結するのはおかしい

というわけで、右往左往しましたが、結論として、警察は、一輪車は軽車両にはあたらず、遊具として道路交通法の適用を除外しているものと考えられます。

しかし、その理由付けとして、「自転車に該当しないから遊具だ」というのは、あまりに安易にように思えます。

実質的な理由付けは、自転車該当性有無ではない。そもそも、第2条の定義を文言だけよめば、むしろ軽車両に該当すると考える方が自然。現に、そのように考えている人が多いのは、冒頭に述べた通りです。

そうではなく、一輪車の使用実態と、道路交通法の目的(第1条参照)とを照らし合わせて、本当に一輪車に交通ルールを強制するほどのモノなのか、といいう実質的な理由から考える、というのが、本当のところのように思えます。

・・・とここまで書いたのですが、実は、手元にある資料が、上記「執務資料」しかないので、この最終段落は実は推測です。使用可能な判例データベースでも調べたのですが、この点に関して述べている判決、法律雑誌は見当たりませんでした。

というわけで、私の考えは上記の通りなのですが、この点について書籍・論文等の出典等をお持ちの方は、是非教えて下さればと思います。

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