2014/03/26

中古自転車の品質と瑕疵担保責任

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1 中古自転車の品質認定制度

http://pressrelease-zero.jp/archives/52501
ある中古自転車の販売業者が、独自に、中古自転車の品質表示基準を制定するとの記事。

一般人には、中古自転車の品質、特に安全性について知る術は、ほぼないと言ってよいでしょう。
基準の当否自体に議論があり得ると思いますが、このような基準を業者が自主的に定めることは、中古自転車の流通と買主(消費者)保護の両方に資するものとして、歓迎できると思います。

#ただし、このBAAAという名前。一般社団法人自転車協会のBAAマークと混同を生じさせるような。
http://www.baa-bicycle.com/
当該業者がBAAマークを知らないということはあり得ないと思います。このネーミングはちょっと不適切ではないかと思っているところです。


・・・というのが前振りでして、本題はここから。

2 中古自転車売買の危うさ~売主の視点

(1)ノークレームノーリターンは万能ではない


よく、ヤフオクなどで中古自転車フレームを素人が売買していますね。これ、前々から、かなり危ないと思っているところです。

このうち、買主にとって危ないという点は、直感的に理解可能と思います。
命を預ける乗り物。しかし、どの程度の物なのか、店頭での対面販売以上に知ることはできない。

今回取り上げるのは、売主側。

一般に、このような中古品を売るときの慣用句として「ノークレームノーリターン」という文言が用いられます。ここで、「ノークレームノーリーターン」とは、民法の瑕疵担保責任(570条)を免責する意図で付されているものと理解されています。難しい言葉ですが、要するに、売買した物が通常有している性能に欠けていた場合に、それによって生じた損害(事故の例であれば、事故の治療費等)を賠償しなければならないというものです。

しかし、この「ノークレームノーリターン」を、文章の端っこに「ちょっろ」っと書き、きれいな写真と、特に不具合を想起させない説明文であったらどうでしょう。買主サイドからすれば、瑕疵がありうるとは、なかなか考えにくいですよね。

このようなケースの場合、様々なロジックはありますが、いずれにしても、瑕疵があった場合にいつも買主が免責される訳ではないという考え方はほぼ一致しています(よくある小傷程度であれば大丈夫そうですが)。

例えば、上記の場合で、実は売主の落車の結果フレームにとんでもないクラックが隠れていて、事故が生じたときはどうでしょう。

落車経験を知っていながら、このようなノークレームノーリターン特約の効力が認められる余地はあまりないように思われます。結果、買主が事故を起こした等の場合には、その賠償を裁判所から命じられる可能性が高い。

人身事故の場合・・・おそろしい損害額になりそうですね。加えて、これはあくまで売買契約に基づく責任なので、個人賠償責任保険の適用もなさそうです。

(2)契約全体で、どのような物を売る約束だったのかが重要 ノークレームノーリターンという文言だけでは決まらない


では、次の例はどうでしょう。
売主は、落車歴等、ある程度の使用状況等を説明し、外傷についても状況を説明した上で、「このような使用状況から、様々な不具合が生じているかもしれませんが、その点はノークレームノーリターンで」と書いて売った。しかし、他方で、直前まで現に乗車しており、乗車可能であるとは述べていた。
しかし、実際には、乗車に堪えないほどの状況だった。

このような場合も、やはり、瑕疵担保責任は免れないと思われます。ノークレームノーリターンの文言があったとしても、契約全体の趣旨は、「乗車可能なものを売る」という内容であると考えられるからです。

重要なのは、契約全体の趣旨として、どのような物を売ることになっていたか、ということになります。

(3)売主が商品の性質を分からないものを売ることの危険性


冒頭に述べた通り、自転車の品質、特にカーボンフレームの内部状況など、素人にわかるわけもありません。そうすると、このような売主は、どの程度のリスクがその商品に内在しているのか、知らないということになります。

上記(2)の通り、売買において責任を決するのは、契約全体としてどのような物を売る趣旨であったかということ。売主が商品の性質を知らないのがいかに危ないかは、理解して頂けると思います。

私は、売主自身がブツのリスクを把握できない商品は、少なくとも素人相手には売らない方が適切であると考えています。その価値を評価できるプロへ売るのが無難でしょう。


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