2014/05/12

無断の自転車通勤と懲戒処分

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(2014/5/12 実際の懲戒処分の報道を追記)

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1401130018/

自転車通勤OKのJFEエンジ「全国でも数例」/横浜


この記事にもあるように、自転車通勤が制度化されている会社は、あまりありません。
都心であれば、ほとんどの事業者が、公共交通機関の利用を前提とした仕組みなのではないでしょうか。

もっとも、制度化するとすれば、自動車通勤同様の規定で概ね足りるようにも思えます。従業員が勝手に通勤費用の削減と健康増進に貢献してくれるわけで、メリットもある。
もちろん、駐輪場の確保や、酒気帯び運転その他違法行為をさせないという基本的な点は抑えなければなりません。

さて、今回のお題は、このような制度がなく、電車通勤と申告して通勤手当を受け取っていながら、実際には会社に内緒で自転車通勤を行い、定期券も買わずに手当だけ受け取っていたらどうなるか、という話です。

結論からいうと、このようなことを意図的に行った場合、通勤手当の不正受給(場合によっては詐取)とされ、懲戒事由に該当するとして処分を受ける可能性があります。

裁判例を見てみると、例えば通勤経路の変更や、転居があったにもかかわらず、過去の経路のまま比較的高額の通勤手当を受給する状態が長年続いたあとそれが発覚、というケースで、雇用主側が懲戒解雇や諭旨退職処分を行い、労働者側がそれを争うというケースがいくつか見られます。

ただし、懲戒事由に該当するとしても、懲戒解雇や諭旨退職という処分が相当かどうかは、事案次第。要するに、どれほど悪質かどうかという観点から判断されます。近時の判決では、
  • 東京地判平成25年1月25日労働判例1070号72頁
  • 東京地判平成18年2月7日労働判例911号85頁
が、労働者としての身分を剥奪する処分は重すぎるとして効力を否定した一方、
  • 東京地判平成11年11月30日労働判例777号36頁
は、虚偽の住所届出による不正受給額が4年間で230万円程度に及んだことや、ほぼ職務放棄状態だったことを考慮し、懲戒解雇を有効としました。

ただし、これは懲戒解雇や諭旨退職という「死刑判決」の話。それより軽い処分は有効とされる可能性は十分あります。

もちろん、平成11年判決のような事案と、無断の自転車通勤を比較すると、悪質さの度合いは全く違います。実際には、定期券すら買わない場合はあまり無く、晴天かつ飲み会がない日のみ自転車、そうでない日は電車という場合がほとんどでしょう。
まして、自転車通勤が制度化されていない場合、申し出て定期代を返上しようとすると、「やめなさい」と言われる可能性も高い。なかなか言い出しにくいというのが実情ではないかと思います。

とはいえ、上記のような懲戒処分のリスクを考えれば、面倒ではあるものの、上手く会社と交渉して制度化してもらうか、そうでなくても例外的に認めてもらうということが必要ではないかと思います。


2014/5/12追記

「バス通勤」申請し自転車で…高校教諭を減給

現にこのように減給処分を受けた事案が報道されています。

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