2017/08/31

2000億円市場のための「オマケ」-自転車保険の義務化をめぐって

自転車保険で「セブン」が最も評価された理由 進む「加入義務化」、選ばれる保険の共通点はhttp://toyokeizai.net/articles/-/111708?page=3

こちらの記事によると、自転車利用者は7000万人、これに対して、自転車保険の加入率は2割ということです。

自転車保険そのものについては、私は肯定的に見ています。不運にも事故に巻き込まれた人が得た損害賠償の権利に対して満額の執行を確保することは意義があると考えるからです。

上記記事による利用者を前提にすると、このような自転車保険を義務化することにより
こう見積もって、概ね、2000億円の市場があることになります。

ところが、この市場を巡って、どうも気になる動きが

以前もこんな記事を書きました。

#aminocyclo: 自転車保険と自治体の協定と利益相反: 自転車保険の意味はある。 でも最近散見する、自治体に対して自転車保険会社が支援するってその原資は結局加入者の金なのであって、それを保険会社と自治体が合意するって完全に利益相反だよねと思う。 https://t.co/hgck2ZfEyy @cyclist_sanspo ...

自転車保険を義務化することに加えて、そのような義務化を行った自治体が、保険会社とタイアップして、保険会社から利益(様々な協力)を受け取る代わりに、その活動をエンドースする動きが広がっているのです。

au損保が滋賀県と自転車安全利用の協定締結 安全な「ビワイチ」推進にも協力
http://cyclist.sanspo.com/355711

au損保が滋賀県と行う取り組み
1.自転車の安全で適正な利用を促進するための啓発活動に関すること
(1)県内の自転車購入者に配布される「自転車ルール・マナー確認書」を作成・提供
(2)イベント等において配布する自転車安全利用チラシ等の提供
(3)保険面からのヘルメット着用促進
2.自転車利用者への交通安全教育に関すること
(1)交通安全教室等に「自転車ルールブック」「こぐまの自転車マナー教室(DVD)」等の教材貸出し
3.安全な「ビワイチ」の推進に関すること
(1)サイクルイベント等で即時加入できるau損保の自転車向け保険を紹介
(2)加入者向け自転車ロードサービスなどにより滋賀県内のイベント参加者を側面から支援
4.交通安全に関する各種データ分析や資料提供に関すること
5.保険収益の一部を滋賀県における交通安全啓発活動等に対し寄付すること
この問題点については、上記記事でも既に触れました。すなわち、

  • 保険会社からの利益に釣られて、有権者(=サイクリスト)一般のためにならない行動をする
    • 具体的には、例えば、特定の業者に「お墨付き」を与えることにより、有権者を当該保険会社の商品に誘導し、競争をゆがめる
    • また、このような利益を受ける自治体が増えてくると、まだ義務化を採用していない自治体も、利益供与が期待されることにより、義務化自体の意思決定がゆがめられる
という問題です。

要するに、自治体さん、どっちの方を向いて仕事しているんですか?という話。これを、利益相反といいます。

特に、後者については、このような動きが広がれば広がるほど加速する性質のものであり、憂慮しています。

どんな規模感?消費税との対比

ただ、市場規模2000億円といっても、ちょっとピンときませんね。

そこで、一人頭、約4000円の年額負担を、常に熱い議論が交わされる消費税と比較してみます。
年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は
https://vdata.nikkei.com/prj2/tax-annualIncome/
日経新聞の上記記事では、消費税負担の規模が、年収等に応じてイラストで示されています。

ここに「1世帯当たりの年間消費税負担額(万円)」というグラフがあり、消費税3パーセント、5パーセント、8パーセント、10パーセントの場合に、一定の年収がある世帯がどの程度負担することになるのかのシミュレーションがされています。

議論が最も盛り上がった消費税導入時、税率は3パーセントでした。
この場合、例えば年収300万~400万の世帯では、年額5.7万円を負担している計算になるそうです。

これに対し、自転車保険が義務化されれば、 一人頭、約4000円が義務的支出として加わることになります。

どうご覧になるでしょうか。

評価は人それぞれですが、決して小さい額ではないことが分かると思います。

なお、この保険料は、所得の有無にかかわらずの金額なので、逆進性(所得が低い人にとって相対的に負担割合が増えること)の問題もあります。

以下は、仮に、の話です。

消費税が特定目的の税金で、国民が、ある業者によるサービスを利用したら、その利用料について満額補助を受けられる仕組みだったら、どうでしょうか。

そもそも、そんな税金自体、かなりうさんくさいですね。サービスの有用性や、税金という強制的な方法によることについて、徹底した議論が行われるべきってのは、皆さんお感じになると思います。少なくとも、消費税は常にそうでした。

これに加えて、当該補助による支払を受ける特定のサービス供給者が、政府に対して「私たちが消費税の徴税その他色々細かいお手伝いをします。なので、(他の業者ではなく)私たちに『政府のお墨付き』を下さい!」って言いだしたら、どうでしょうか。

そして、それを政府が喜んで受け入れたら、どうでしょうか。

有権者目線からは、控えめにいって、いやいや、冗談が過ぎるでしょう、という話に思えます。

ここで、改めて、上で引用した協定内容を見てみましょう。
どうでしょうか。

2000億円市場のための「オマケ」は、保険会社にとっては些細なもの

どうも報道で見る限り、この2000億円市場を巡って、保険会社は、自治体の「お墨付き」を得るべく、あの手この手を使って利益供与を行っているように思えます。

//8月30日 追記修正//

保険会社が提供する上記のような「オマケ」、2000億円市場に比べれば、ごく僅かです。しかし、自治体が僅かでも当該保険会社の私益に繋がる判断をすれば、住民からの利益の移転は、薄く広くとはいえ、相当な額になる可能性があります。

普通に考えれば分かりますが、営利企業である保険会社がこんなことをするということは、長期的には何らかの得を狙っているからに他なりません。ここは、お察し下さい、というところです。

とはいえ、私は、実は、保険会社自体を非難する気にはあんまりなれません。

一歩下がっての話ですが、本記事のように「利益供与を受けちゃうのはどうか」みたいな話をすると、すぐに「違法じゃないならいいじゃん」という反応が返ってくることがあります。

しかし、いま違法かどうかと、有権者に不利益かどうかは別問題です。

他方で、違法かどうかは、非難できるかどうかとは関係があります。違法でないとすれば、営利企業がやる分には、確かに問題ないでしょう。

襟を正すべきは、有権者に義務を負う自治体

不当な行為であり、そして一歩進んで少なくとも政治的に批判されるべきは、そんなオマケを受け取ってしまう自治体の側です。

なぜなら、このようなオマケ、利益供与は、正常な判断を歪めるということは、学術的にも確認されているからです。上記記事でも書きましたが、現にEUにおいては、ある業界において、たとえプロであっても正常な判断を歪められるとして、本業となるサービス(ここは有料)に関連した無料のオマケの受領を禁止する動きがあります。

自治体は、営利企業と違って、違法でなければなにをやってもいいわけではなく、少なくとも政治的に、有権者に対して利益となる政策を採る義務を負っています。

このようなオマケを受け取っているということは、そのような義務を負う自治体が、自ら、判断を歪ませる可能性がある毒まんじゅうを食べている、ということをおおっぴらに示していると私は考えます。

//ここまで//

このあたりを一般向けに説明した本として、最近出たのが下記。
もうちょっときちんとしたところだと、このあたりでしょうか。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ダニエル・カーネマン
早川書房
売り上げランキング: 744

2017/08/03

Waitroseでイギリス土産

LEL(ロンドン・エディンバラ・ロンドン)の最中ですが、ある参加者の方と、UKのお土産についてどうする、という話になりました。

特に値段を気にせず、いかにもイギリス!という雰囲気のものを狙うのであれば、
  • ヒースロー空港のセキュリティ後の土産物屋、またはハロッズ・フォートナムメイソン等のブランドショップ
  • ロンドン中心部の土産物屋やUKブランドショップ(スーパードライとかどうでしょう)
の二択ではないかと思います。

ただ、英国国旗ベタベタのパッケージはちょっと、という方もいらっしゃいますよね。
また、ハロッズ等のブランドものばかりだと大量にばらまくのも難しい。

そういう方にお勧めするのは、UKの高級スーパーチェーンの筆頭として認知されているWaitrose

ロンドン市内の限られた場所に大型店舗を出店し、TescoやSainsbury'sといった一般のスーパーで取り扱っている商品のみならず、品質に定評のあるオリジナルブランドを販売しています。

決して安いとは言えませんが、上記のようなお土産物屋の価格に比べれば、価格あたりの価値は◎。お土産を渡す相手にも、「これはイギリスの高級スーパーのオリジナルブランドで~」と説明すると、格好も付くのではないかと思います。

以上の理由で私も日本に一時帰国する時にはここの商品をお土産として多用しています。

ロンドン中心部に一見店舗が多いように見えますが、これらは比較的小型店舗。

これに対し、東北部、LELスタート地点に近いWoodfordや、交通の結節点にあるStratford,そして金融街Canary Whalfのど真ん中(私が最も利用する)にある店舗はいずれも大型店舗。

特にStratfordの店舗は、ロンドン最大のショッピングセンターであるWestfield Stratford Cityの中にあります。Westfieldには、これ以外にも様々なUKブランドの店舗が入っており、買い物のネタには事欠きません。

LELにゴール後、立ち寄るには最適の立地ですね。



個人的ランキング

何を買うかは、勿論みなさんのお好みなのですが、個人的に「使い勝手がよい」のを3つ挙げてみました。

3位 ビスケット/ショートブレッド

自転車乗りの端くれとして、これを食べるのは大変罪悪感を感じるのですが・・・

Waitrose 1シリーズは、Waitroseプライベートブランドのフラッグシップを意味しています。このシリーズで展開されているビスケット・ショートブレッドは、いずれも破壊的なうまさ。脂肪分は見なかったことにしましょう。

このシリーズ以外にも、ありとあらゆるビスケットやショートブレッドが揃っています。綺麗な缶入りではありませんが、職場のみんなでつまむには最適です。

こんな盛り合わせもあります。

2位 ジャム・Conserve

Waitroseのプライベートブランドではないのですが、日本でも有名。日本ではだいたい2,3倍の価格でしょうか?ちょっと重たいのですが、パン好きの人には例外なく喜ばれます。
プライベートブランドでも色々あります。UK人は本当に甘い物が好きですね。

1位 紅茶・ハーブティ

やはり不動の一位はこれではないかと思います。軽量、複数人でのシェアが容易、保存もきき、安価。加えて、お茶売り場の充実度合いは半端でなく、非の打ち所がない。

ここについては是非直接ご覧になっていただければと思いますが、プライベートブランドの中から敢えて挙げたいのが、ハーブティ。

勤め人にとって、朝はともかく、帰宅後リラックスするのにカフェイン入りはイマイチですよね。1つ1ポンドなので、大量に買って帰って色々な人にあげて回ったり、職場で消費したりと融通が利きます。



いかがでしたでしょうか。これ以外にも様々な商品があり、見て飽きることはないと思います。UKにお越しの際は、是非一度足を運んでみてくださいね。